多肢選択問題を作成する際に気を付ける事
Multiple Choice Questions
昨今のテストでは、マークシート、CBTといずれも採点等の合理性を含めて多肢選択問題の出題形式が多くなっています。
今回は多肢選択問題を作成する際に気を付けて欲しい点・基礎的な知識についてご紹介します。
【1】過去問と異なる問題を作成しようとし過ぎて、本質から外れた問題を作成してしまう
まず、選択問題に限らないのですが、テストを作成する際に気を付けて欲しい点として、〇〇検定の〇級を作成するという場合に、その級を合格するのに必要な知識、ジャンルから「これは知っていて欲しい」という問題を作成し続ける事です。
往々にして過去問は出せないという気持ちから、最初は良い問題を作成するのですが、継続しているうちに過去問と被るため、出したい問題やジャンルとは異なる、少し目的と離れたひねった問題を出してしまいます。
結果として、その検定の〇級に必要な知識から外れた問題を作成してしまう事がよくあります。
これは完全に本末転倒ですので、過去問を使ってはいけないという考え方は排除し、良い問題であれば再度出してもかまいませんし、またその問題をアレンジして再利用することもできます。
本質的には〇〇検定の〇級に必要な知識を確認する問題を出題する事の方が何よりも大切である事を再認識してください。
【2】「正解/誤答」が想定される表現を避ける
これは、問題を理解していなくても選択肢から常識的に選べてしまう選択肢を作成しない事です。
具体的には、正解の選択肢は慎重になるため幅のある表現を使いがちです。
分かりやすい事例では、
「~の場合がある」「こういう条件下では、~である」「より適正である」「一般的には」は正解の選択肢に使いがちな表現です。
逆に、誤答では、断定的な表現になりがちで、
「絶対に~」「常に」「全てにおいて」「~しかない」等の表現は、絶対という事は世の中にはほぼ無いため、知識に関係なく間違いである事が推測されてしまいます。
【3】選択肢の長さを揃える
前述の通り、正解の選択肢は多くの情報を盛り込んで正確に表現したいため、文章自体が長くなる傾向があります。
そのため、知識の無い方が推測で選ばせないように、選択肢の長さを統一しておく事もチェックしておきましょう。
【4】正解の選択肢の位置の配慮
正解の選択肢の位置の配慮も重要です。
ただこれはCBTであれば、受験者ごとに選択肢をシャッフルできるため、気にする必要はないです。
マークシートで実施する際に気を付ける要素ですが、センター試験の正解データは以下です。
①19.1% ②22.4% ③23.3% ④21.9% (⑤7.3% ⑥4.2%...)
ご覧の通り、どうしても①に正解は置きづらく、③を中心に②④が次いで多くなる傾向があります。
また回答を②③に置きがちな先生がおりますので特に注意が必要です。
出題前にある程度、選択肢の位置が分散するようなチェックを行ってください。
【5】当てはまらないものを選ばせない
「当てはまらないものを選べ」の問題は、あまり良くありません。
受験者はつい正解を選ぶ傾向があるため、実力のある受験者が間違える確率が上がってしまうためです。
また問題の中の二重否定はより深刻で、より混乱を生みます。
これはテストの信頼性を下げることにつながりますので、テストの本質的な意味を考えますと避けるべき問題です。
【6】選択肢の数は 4 が基本。
これは当て推量(分からなくても運で当たってしまう確率を指す)の問題です。
仮に50%の人がわかる問題では残りの分からない50%の人が、2択なら半分の50%で当ててしまい、トータルの難易度は75%の正答率(実質の正答率との差25%)となります。
これは以下のように表現することができます。
・2択 75.0%(実質差25%)
・3択 66.6%(実質差16.6%)
・4択 62.5%(実質差12.5%)
・5択 60.0%(実質差10.0%)
つまり4択なら2択の半分の12.5%に当て推量を下げられますが、5択にしても2.5%しか下がりません。
3択から4択では若干効果が見えるため4択が推奨です。厳しければ3択は最低作成すると事が重要と考えられます。
【7】用語の統一
似たような言葉の統一は必要です。
また、同一単語だけでなく、例えばカタカナ表記のルール統一等も必要です。
例えばコンピューターという言葉を「コンピュータ」と書くのか「コンピューター」と書くのか、どちらも正解ではありますが「コンピュータ」と書くのであれば、「サーバー」も「サーバ」と表記すべきとなります。
それ以外にも「送り仮名」や「数字表記」など、気にすべきルールはありますので事前に決めておきましょう。
細かいですがこのように単語表記のルールを決め、統一は必要です。お薦めとしてはWord等に記載してみると、統一されていない用語は下線マークがつきますし更にまとめて置換もできますので、最終稿はWordにコピーして確認すると良いと思います。
今回は多肢選択問題の作成について、基礎的な考え方をご紹介しました。是非、参考にしていただき良い問題作成を心がけて下さい。