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代表野口の資格・検定研究ラボ - 検定のすゝめ
コラム

顔認証付きIBTシステムを考える

Face Authentication

テストセンターを使わずにネットだけで本人認証を行い、替え玉受験やカンニングができないように、カメラで受験者を撮影し、不正行為があった場合に検知出来るシステムについての質問を最近よく受けます。
結論として、技術的には簡単ですが、実際の運営モデルとしては難しいと考えております。
その理由についてご説明したいと思います。

まず、IT技術として実現したい内容は難しくなく、例えば顔認証を行うAPIは既に世の中に数多く公開されております。
例えば以下のようなものです。
顔認識ソフトウェア - Face API

ご覧いただいた通り、二つの画像を比較してマッチ率を出すことは、これらのAPIを使うことでかなりの精度で、かつ容易に実現ができます。
試験中に何枚か受験者にわからないように撮影を行い、その画像を比較して替え玉等をしていないか判別すれば良いわけです。

ただし、問題点は、現実の運営モデルにあります。
・自宅で受験させるとして、そもそも受験者は、自宅にカメラを持っているのか?
この問題が解決されたとしても、
・カメラを持っていても、カメラでの撮影を許容してくれるのか?

個人情報保護等の観点が厳しい現代社会において、撮影許可はもちろん、取るタイミングを告知せずにランダムで試験中に撮影されますと表現したとして、受験者は許容してくれるでしょうか?

仮に撮影するタイミングを告知して撮影する場合、替え玉受験の不正行為を行っていたとしても、撮影の瞬間だけ本人が写れば良いことになります。撮影許可を取って実施することは、事実上意味のないことになります。
なので、ランダム撮影となるわけですが、それを許容してくれるのか?

次に、それが許容されたとして、
・受験者はカメラの前に常に顔が写るような位置・角度を維持してくれるのか?

試験中、受験者は悩み、下を向いたり頭を抱えたりします。
その瞬間に撮影を行っても、顔が写っていないので顔認証ソフトは同一人物でないという判定をしてしまいます。
実際には替え玉受験をしていないのにも関わらず不正なデータが出てしまう。これは良くないですよね。

では、全写真を実際に目で見て確認する。
となると、顔認証技術導入の意味が無くなってしまいます。

このような議論を突き進めていくと、静止画ではなく、動画として撮影し、遠隔で監視をするというモデルになっていきますが、画面を通して1名の監督員が同時に何人を監査できるのでしょうか?
コスト的にも問題が生じます。

コスト改善案としてランダムピックアップで抑止力という考え方もあるかもしれませんが、実際には多くの抜け道を作り上げ効力を発揮しないでしょう。

もちろん、そもそも画像には本人が写っていてもカメラの撮影範囲外に他の回答者がいて、回答を教えながら受験をされてしまってはどうしようもない事になります。

音声も取るように対応したとしてもマイクだけ気にすれば良いわけですから、カンニングをしようとする側ではいくらでも抜け道を作ることができます。

一人でも不正ができる環境を用意してしまう場合、それ以外の真面目に受験した方々が馬鹿を見て、その資格自体の価値を下げます。取ろうと思えば替え玉受験やカンニングで取れる資格となってしまうわけですから。

このように考えますと、現時点の技術では、やはり試験監督による現地での監督しか不正受験を阻止する方法は無く、公正で厳格な試験運営は、テストセンターモデルで試験監督がいる事が重要だと私は考えます。

近未来において、これらの課題を解決する技術やソリューションが誕生してくるのだと思いますが、現状の技術では試験監督無しでの試験運営は難しいと考えております。

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