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試験主催者様が考えるべきリスク対策について

Risk Management

2018-12-17

北朝鮮情勢が緊迫する今日、戦争にはなってほしくないと思いますが、有事に備えてやるべきことは何なのかということを最近よく考えます。戦争に限らず、地震や台風、大雪などの災害や交通事故などの不慮の事故を考え対策を事前に打つことは非常に重要なことだと思います。

さて、試験主催者様が考えるべきリスク対策にはどのようなことがあるのでしょうか?

セキュリティ対策、バックアップ対策、リカバリ対策、クレーム対策、...等々、色々な視点で考えていかないといけないわけですが、このような全体論や抽象論は試験主催者様においては、当然釈迦に説法となるので、ここでは細かい具体的な部分で、当社だとこう考えているという事案についてご紹介をしたいと思います。

【1】損害保険に入ること

当たり前の話ではありますが、どの保険に入るべきなのか?という所まで踏み込んでみます。

当社が入っている保険は、下記の3つです。

  1. 個人情報漏えい対策保険
  2. システム障害対策保険
  3. イベントトラブル対策保険

1 の個人情報漏えい保険は、多くの試験主催者様も入っているであろう昨今必須となっている保険です。
2 は、システムを提供している会社には必須と言える保険です。
3 の保険を紹介しておきます。これは試験会場で例えば階段でドミノ倒しで事故が起きた場合等に対象となる保険です。以外に盲点となっている保険ではないかと思います。

2, 3 は入っていないという試験主催者様は検討してみてはいかがでしょうか。

【2】免責事項を記載すること

受験者に対して何か問題があった場合の免責事項を受験規約等でホームページに記載・開示しておくことです。

例えば以下のような視点を加えておくことを推奨します。

  1. 地震、火事、台風等の災害に対して試験開催が出来なかった場合に対しての記載です。今後は戦争等についても記載する必要があります。試験中に起きた場合も考慮し、公的な事由で開催自体が出来なかった場合 の免責を想定し記載します。
  2. 電車遅延、遅刻証明書等の対応についての取り決めを記載します。
  3. 当日試験会場でのトラブルや問題の間違い等が起きて 正常に試験が行えなかった場合の対応方法について記載します。
  4. 不正受験を定義・開示しておきます。カンニング行為や替え玉受験、 問題の漏えい行為を行った場合に認定の取消等を記載します。
  5. 自己管理すべきシステムのログインID等の情報を受験者本人自身が 漏えいし、個人情報が漏えいした等と訴えられないことを記載します。
  6. 法律や警察等の法律に絡む場合に限り個人情報を開示する場合 があることを記載します。
  7. 戦争等で例えばデータセンターが破壊されるようなやむを得ない自体が発生した場合のシステム障害や合格者データの紛失等の免責について記載します。

【3】災害等で開催できなかった場合の対応法を決めておくこと

【2】の免責事項のコーナーでもご紹介をしましたが、サービスが提供できなかった場合の対応パターンを考えておく必要があります。

試験を提供できなかった場合、再受験等が現実的ですが、試験問題の異なる版を用意しないといけない場合、それを提供するのが難しいことも想定されます。
この場合返金対応を推奨します。返金はせずに次開催に受検してもらう対応もありますが、それらを対応するシステム構築が必要で、意外に重い開発となります。ですので、割り切って返金してしまうことが妥当な選択肢となります。

尚、CBTサービスのような随時型試験の場合は、簡単に再受験での対応が可能ですので、こちらもメリットの一つになるかと思います。

災害においては、試験中に火災や地震、Jアラート等が発信された場合等を事前に想定し、試験監督員に予め教育しておく必要があります。この場合の災害対策マニュアルを作成すること及び試験監督員への教育の徹底が大変重要です。

【4】バックアップ対策を考えること

こちらも免責事項でふれましたが、データセンター自体が破壊されたり、プログラムのバグ等で全てのデータが消えてしまった場合に、これまでの合格者データを全て一瞬で失ってしまうこと等が想定されます。

その場合の試験主催者様にとってのダメージは計り知れないものです。ですので、データを異なる都市のセンターで保持したり、開催回単位のデータをDVD等のメディアに焼いて保存しておく等対策を行うことが大変重要です。

最悪、合格者のデータさえ復旧できれば試験制度の再開は可能と思えますので、この問題は最初に手を付けるべきリスク回避対策となるはずです。

当たり前のことではありますが、対策が不十分な試験主催者様も いらっしゃるかと思いますので、保存すべき対象のデータの選定(例えば試験問題等)を含めて対策しておく必要があります。

【5】リスク部分をプロの業者に委託してしまうこと

そもそもリスク部分をプロの業者に委託してしまい、もちろんプロの管理体制で事故のリスクを軽減させることもしかり、最悪それでも事故が起こればその責任をその業者に取ってもらうという考えも選択肢の一つです。
これは委託を受ける当社側からすると 厳しい考え方ですが、それもアウトソースのメリットと言えると思います。

いかがでしょうか。もちろん上記以外にも、例えば運営面で資材を間違った場所に送付してしまった場合や、試験監督員が当日会場に来ていない等、様々な起こり得るリスクに対して、事故が発生しないように確認や業務フローを見直すことが大前提ではあります。しかしながら事故が起きない保証はありませんので、起きた場合に備えリスクを最小に抑え復旧していくのかの視点で上記の対策をしておくことは重要です。現状の試験運用のリスク対策について、どのような状況であるのか確認してもらえればと思います。

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