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代表野口の資格・検定研究ラボ - 検定のすゝめ
検定ノウハウ

ノウハウを資産にしていこう

Know-how is Assets

2018-12-19

ノウハウを文章化し共有化する

試験運営とは、組織を毎年継続して成果を出していく業務でもありますので、トラブルが起きないようにノウハウを組織の資産として貯めていく事はとても重要です。

組織を運営していく中で私が悩む問題点の一つとして、問題が発生したり効率が上がらない場合に、原因をひも解いていくと、「なんだそんな事も知らなかったのか。それであればこうすれば簡単に実現できるよ。」といった事が多々あることです。

しかし、これは担当者が知識不足なのではなく、その担当者に組織が培った知恵やノウハウを教えていない、または学ぶ手段を提供していないという事に行きつく場合が多いのではないでしょうか。

組織を継続運営していくにおいて、失敗から学び、成功につなげていく事はとても重要であると思います。しかし、それはトップだけが気づいていても意味がなく問題は常に現場で起きています。現場の担当者がトップが得た知識やノウハウを知り、問題を解決できるように進めていく必要があります。

これは、私が参加したセミナーで講師が話していた言葉です。

「自分がいなくても素人がやってもこの文章を見れば分かる。そうやって文章化されている物のみをノウハウという。決して人の頭の中のみにあり、あの人しか出来ない事をノウハウとは言わない。ノウハウとは文章化された物のみを言う。」

この言葉は、私の印象に非常に残っています。今も多くの現場では、OJTという名のもと「私の背中を見て育て」といった文章化されない中で、人材育成に取り組まれています。もちろん経験も大事ですし、間違いではないのですが、必要な知識を持たせない事は、結局効率は悪くなります。教えれば分かっていた事を教えずにした事が、後々のトラブルの原因になる事は、学習が組織として行われておらず組織の継続運営の失敗を意味しています。

分からなかった事で失敗をするのは、それを糧にする事で成功に近づきます。組織の資産になるようなありがたい経験にもつながります。

しかし、事前に分かっていた事でミスを繰り返すのは、組織の敗北と言えるのではないでしょうか。その組織には改善の意識が希薄なため、たとえばAさんは以前の事故から学んでいて失敗はしないが、新任のBさんは知らなくて起きてしまうという事が現場では起きてしまいます。折角失敗しないノウハウを得てもその組織は同じ過ちを繰り返すのです。このことは結局の所、その組織のノウハウになっていない事と同意と言っても過言ではないと思います。

だからこそ、結論として、セミナーで聞いた言葉が答えになります。

それは、「ノウハウがきちんと文章化されており、そのノウハウを確実に担当者に事前知識として学ばせている手法を組織が提供しているのかどうか」です。

ノウハウを文章化をする事は、言うは易し行うは難しです。しかしながら難しいからこそ、実行する事に価値があります。実行する組織と実行しない組織では、数年も経てば決定的な大きな差が生まれます。

人に依存した組織は何十年にも渡って一定の品質水準を守ってサービスを継続する事は難しいのです。ノウハウを内在化していた担当者が辞めれば極端にサービスの質が落ちてしまいます。そうならないためにもノウハウを持った人がいる間に文章化し共有化することです。

このようなプロセスを踏んで公になったノウハウだけが資産になる事を組織全体で共有し、積み重ね継続して行うという事が組織運営においてとても重要なのです。

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