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CBT方式の災害時対応はどうする?紙試験との比較で解説

昨今は気候変動などによる災害も増えており、公共交通機関の計画運休など従来よりも災害に対するケアを強く求められる状況となっています。
試験を運営する主催者にとって、災害時における受験者へのサポートや連絡はとても大事なことかと思います。
一般的に「CBT方式は災害に強い」と言われていますが、実際のところどうなのでしょうか?
本記事では、マークシート型一斉試験における対応と比較しながら、相違点を整理していきます。

マークシート型一斉試験における災害時の対応

従来のマークシート型一斉試験では、災害が発生すると受験に致命的な影響を及ぼします。災害発生時に試験主催者が取るべき基本的な行動は以下の3パターンになります。

①振り替え受験(直近での特別開催)

受験者にとっては最も望ましい対応ですが、試験主催者にとってはコストが大きく非常にハードルが高いです。
主な理由は以下となります。

<事前準備>
試験問題を本番用とは別に準備をする必要があります。
本番用と比較して受験者は少ない(場合によっては使われない)とは言え、本番用と同じ品質が求められ、コストが2倍になります。

<緊急準備>
会場抑え、試験監督手配、受験票、その他資材等について緊急で準備を行う必要があります。
また採点についても、二重対応+本試験との調整などもあり、大きな課題になります。


以上より、特定の大規模な試験主催者以外はあまり実現できていないものと思われます。

②振り替え受験(次回の開催を待つ)

受験者、試験主催者にとって落しどころになり得る方針です。
ただし、年に1回の試験などは間隔が空きすぎるため、受験者側の学習に関する負担は大きくなり、現実的には年2回以上の開催がある試験で選択できる方針だと考えます。
なお、試験主催者は振替先の開催回で原価分×対象人数を追加で負担する必要があります。

③返金対応

実は、最も多く採用されている方法は受験者への返金対応です。
上記①②の方法についてはそれぞれ追加の試験運営業務が発生しますが、この③については試験業務への影響はありません。
受験者からすると試験に向けた学習は無駄になりますが、試験に直接関わる金銭的な問題は解消されます。
なお、試験主催者は以下のコストを負担する必要があります。

<試験は開催できたが、特定の受験者が来れない場合>
対象の受験者分の準備はすでに行っているため、収入のないコストになります。
また、返金対応のコストも追加負担になります。

<会場ごと試験が開催できない場合>
対象の会場に関わる全てについて、収入のないコストになります。
また、返金対応のコストも追加負担となります。
*コロナ禍初期はこの対応を迫られた試験主催者が多く、莫大な損失を被る様子が散見されました。

CBT試験における災害時の対応

さて、ここからはCBT方式の試験における災害時の対応を説明します。
まず始めに、CBTでは試験実施形態が異なるため、概念を確認していきます。

Ⅰ.分散型試験

CBTでは従来のマークシート型一斉試験とは異なり、複数日程の受験機会があることが標準的な形式になります。
具体的には、通年で毎日受験ができたり、指定された期間(1カ月間など)の中で受験者の都合にあわせて受験できます。

Ⅱ.資材関連

多くの場合、CBTでは受験票や問題用紙、回答用紙、その他の物理的な資材関連は必要ありません。
よって、緊急で受験機会を設ける場合にも印刷物にかかるコストや時間的な制限を受けません。

Ⅲ.試験会場の確保

CBTにおいて試験会場はテストセンターと呼び、インフラとして全試験共通の環境になります。
よって、100種類以上の試験が常に稼働していますので、横の方が自分と同じ試験を受けている可能性は非常に低いです。
つまり、各試験主催者毎の『会場抑え』という概念がありませんので、受験の可否は受験期間として許可するかしないか、ということだけとなります。
以上より、仮に指定期間の受験期間外に受験させる必要が出た場合でも、試験主催者が許可すれば、受験者は最短3日後から受験可能です。

総合的な災害対応

結論として、Ⅰ~Ⅲの特徴によりCBTでは災害時の振り替え対応が低価格で実現できます。
振替にあたり、「受験毎にかかる受験利用費用」が試験主催者にコストとして発生しますが、マークシート型一斉試験と異なり受験予約が分散しているため、災害で影響を受ける特定地域の特定日に絞ると、対象者は数名から多くて十数名というのが実際のボリューム感になります。
これにより1回の災害対応コストは数千円~数万円に収まり、受験者が最も満足する早期の振替対応を実現できます。

更に、この対応をCBTベンダー側で完結することができます。
実際に、週末や祝日に大きな台風が来る際でもCBTを実施している試験主催団体は出社対応はしておらず、振替案内までCBTベンダーにて対応し事後報告しています。
この点はマークシート型一斉試験と一線を画す部分のため、試験主催団体にも大変喜ばれるポイントです。
*コロナ禍初回の緊急事態宣言の際にもCBTは稼働し続けており、CBTを実施している試験団体は特別な対応をすることなく事業を継続していました。

まとめ:CBTは災害対応にも優れている

以上が、『CBTは災害に強い』と言われる要因です。
試験主催団体及び受験者双方にとってリスクの高い災害対応を無理なく乗り切ることができる仕組みが完成していますので、マークシート型一斉試験でお困りの方はぜひご検討ください。

当社はCBT業界でNo1のテストセンター数と試験配信の運用実績がございますので、導入を決定していなくてもご相談やご興味がおありの場合はぜひ「​​​​​​​お問い合わせ」よりご連絡ください。

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