自治体のFAQ作り方|問い合わせを削減するシステム導入と作成のコツ

自治体の業務効率化と住民サービス向上を実現するため、FAQサイトの導入を検討するケースが増えています。
しかし、効果的なFAQをどのように作成し、運用すればよいか分からない担当者も多いでしょう。
この記事では、自治体におけるFAQの作り方について、導入手順からコンテンツ作成のコツ、問い合わせ削減につながるシステムの選定ポイントまでを網羅的に解説します。

住民が自己解決でき、職員の負担を軽減する仕組み構築を目指しましょう。

なぜ今、自治体でFAQサイトの導入が求められるのか?

多くの自治体でFAQサイトの導入が進んでいる背景には、行政のデジタル化推進と社会情勢の変化があります。
人手不足が深刻化する中で、定型的な問い合わせ対応に追われる職員の業務負担を軽減し、より専門的な業務に集中できる環境を整える必要性が高まっています。
自治体向けのFAQサイトは、住民と行政の双方にとってメリットが大きい仕組みとして注目されています。

住民サービスの質を向上させるため

FAQサイトを導入することで、住民は時間や場所を問わず、自身の都合の良いタイミングで行政サービスに関する情報を入手できます。
従来のように、開庁時間内に電話をかけたり、窓口へ出向いたりする必要がなくなるため、利便性が大幅に向上します。
また、サイト上で回答が得られることで、問い合わせの電話が繋がりにくいといったストレスも解消され、住民満足度の向上に貢献します。

職員の問い合わせ対応業務を大幅に削減するため

自治体の窓口や電話には、日々多くの定型的な問い合わせが寄せられます。
これらの頻出する質問と回答をFAQサイトに集約することで、同様の問い合わせ件数を大幅に削減可能です。

その結果、職員は本来注力すべき専門性の高い業務や、個別対応が必要な相談業務に多くの時間を割けるようになり、組織全体の生産性向上につながります。

24時間365日いつでも疑問を自己解決できる環境を提供するため

住民が行政サービスについて疑問を抱くタイミングは、必ずしも平日の開庁時間内とは限りません。
FAQサイトがあれば、夜間や休日でも、スマートフォンやパソコンから手軽に必要な情報を探し出すことが可能です。

これにより、日中は仕事で忙しい人や、急な疑問が生じた人でも、行政サービスから取り残されることなく、スムーズに自己解決できる環境が整います。

職員間のナレッジ共有を円滑にするため

FAQサイトは、住民だけでなく庁内向けのナレッジベースとしても有効に機能します。
各部署が持つ専門的な知識や問い合わせ対応のノウハウをFAQの形で蓄積・共有することで、職員間の情報格差をなくし、回答の質を標準化できます。
異動や新人職員の研修時にも、業務マニュアルとして活用できるため、効率的な人材育成とスムーズな業務引継ぎを支援します。

【4ステップで解説】自治体向けFAQサイトの導入手順

自治体向けFAQサイトの導入を成功させるには、計画的な準備が不可欠です。
やみくもに作成を始めても、使われないサイトになってしまう可能性があります。
ここでは、現状分析から公開後の運用まで、具体的な4つのステップに分けて、自治体でのFAQサイト導入手順を解説します。

この流れに沿って進めることで、住民にとっても職員にとっても価値のあるFAQサイトを構築できるでしょう。

ステップ1:現状の問い合わせ内容を分析し課題を明確にする

まず初めに、電話や窓口、メールなどで現在どのような問い合わせが寄せられているかを収集・分析します。
特に、同じような内容の質問が頻繁に寄せられている項目をリストアップすることが重要です。
この分析を通じて、どの部署のどのような情報からFAQ化すれば、問い合わせ削減の効果が高いかを判断し、優先順位を決定します。

課題を明確にすることが、効果的なFAQサイト構築の第一歩となります。

ステップ2:目的に合ったFAQシステムやツールを選定する

次に、明確化した課題を解決できるFAQシステムやツールを選びます。
専門知識がなくても簡単に更新できるか、検索機能は使いやすいか、将来的にチャットボットとの連携は可能かといった視点で比較検討します。
クラウド型かオンプレミス型か、サポート体制は充実しているかなども重要な選定基準です。

複数のFAQシステム提供事業者の資料を取り寄せ、自治体の規模や目的に最も適したものを選びましょう。

ステップ3:住民が解決しやすいFAQコンテンツを作成・登録する

システムが決まったら、ステップ1で分析した内容を基に、具体的なQ&Aコンテンツを作成していきます。
この際、行政の専門用語を避け、住民が普段使うような平易な言葉で質問文と回答文を作成することが重要です。
一問一答で完結させるだけでなく、関連する手続きや別の質問へのリンクを設けることで、利用者の利便性を高める工夫も求められます。

完成したコンテンツから順次システムに登録していきます。

ステップ4:公開後の効果測定と定期的なメンテナンスを行う

FAQサイトは公開して終わりではありません。
公開後は、アクセス数やキーワード検索のログを分析し、どのFAQがよく見られているか、どのようなキーワードで検索されているかを把握します。
利用者の解決度を測るアンケート機能を設置するのも有効です。

これらのデータを基に、コンテンツの追加や修正、カテゴリの見直しといった改善を継続的に行い、情報の鮮度と質を維持します。

問い合わせを自己解決に導く!FAQ作成で押さえるべき3つのコツ

FAQサイトを導入しても、コンテンツの内容が分かりにくければ、結局は電話での問い合わせにつながってしまいます。
住民の自己解決率を高めるためには、コンテンツ作成の段階でいくつかのコツを押さえておくことが重要です。
ここでは、住民目線に立った分かりやすいFAQを作成するための3つの具体的なコツを紹介します。

これらのポイントを意識することで、FAQサイトの効果を最大化できるでしょう。

コツ1:専門用語を避け、住民目線の平易な言葉で質問と回答を作る

自治体の業務では専門用語や法律用語が使われがちですが、住民にとっては理解が難しい場合が多くあります。
FAQを作成する際は、「課税標準額」を「税金の計算のもとになる金額」と言い換えるなど、中学生が読んでも理解できるレベルの平易な言葉遣いを心がけましょう。

質問文も「〜について」といった行政側の表現ではなく、「〜したい場合はどうすればいい?」といった住民の疑問に寄り添った形にすることが大切です。

コツ2:関連情報へのリンクを設置し、利用者の利便性を高める

一つの質問に対する回答だけでなく、関連する手続きの案内ページや、申請書のダウンロードページ、他の関連FAQへのリンクを設置することで、利用者の利便性は格段に向上します。
例えば、児童手当に関するFAQであれば、現況届の手続きや他の子育て支援制度に関する情報へもスムーズに移動できるように設計します。

これにより、利用者はサイト内を回遊しやすくなり、複数の疑問を一度に解決できます。

コツ3:カテゴリ分類を工夫して必要な情報を見つけやすくする

住民が必要な情報へたどり着きやすくするためには、カテゴリ分類の工夫が不可欠です。
「税金」「福祉」「戸籍」といった行政の組織に沿った分類に加え、「妊娠・出産」「引越し」「ご不幸」といった住民のライフイベントに応じたカテゴリを設定すると、利用者は直感的に情報を探しやすくなります。

キーワード検索とカテゴリ分類を併用できる仕組みを整えることで、あらゆる角度から情報にアクセスできるようになります。

失敗しない!自治体のためのFAQシステム選定ポイント

FAQサイトの効果は、導入するシステムによって大きく左右されます。
特に自治体では、職員のスキルや運用体制、セキュリティ要件などを考慮した上で、長期的に活用できるシステムを選ぶことが重要です。
ここでは、導入後に「使いこなせない」「効果が出ない」といった失敗を避けるため、自治体がシステムを選定する際に確認すべき4つのポイントを解説します。

IT担当者でなくても直感的に更新・管理できる操作性か

FAQサイトは一度作ったら終わりではなく、法改正や制度変更のたびに情報の更新が必要です。
この更新作業を各部署の担当者が直接行えるよう、プログラミングなどの専門知識がなくても直感的に操作できる管理画面を備えているかが重要なポイントです。

Wordのような感覚でテキスト編集や画像の挿入ができるシステムであれば、更新作業の属人化を防ぎ、常に最新の情報を住民に提供できます。

利用者が迷わない検索機能やデザイン性を備えているか

住民が求める情報に素早くたどり着けるよう、高い検索精度を持つシステムを選ぶことが不可欠です。
入力した言葉の表記ゆれ(例:「引っ越し」「引越」)を吸収して検索結果を表示する機能や、キーワードの一部を入力すると候補を表示するサジェスト機能があると便利です。
また、スマートフォンでの閲覧が主流となっているため、どの端末でも表示が最適化されるレスポンシブデザインに対応しているかも確認しましょう。

将来的な拡張性も考慮しAIチャットボットと連携できるか

将来的には、FAQのデータを活用してAIチャットボットを導入し、対話形式で質問に自動応答する仕組みを検討する自治体も増えています。
FAQシステム選定の段階で、AIチャットボットとの連携が可能か、API連携などの拡張性があるかを確認しておくと良いでしょう。
段階的にデジタル窓口の機能を拡張していくことで、さらなる住民サービスの向上と業務効率化を目指せます。

導入実績が豊富で自治体特有の運用に合わせたサポートがあるか

他の自治体への導入実績が豊富なベンダーは、自治体特有の業務内容やセキュリティ要件、予算制度などに対する理解が深く、安心して導入を進められます。
過去の事例に基づいた効果的なFAQの作り方や運用方法に関するアドバイスが受けられることも大きなメリットです。
導入時だけでなく、運用開始後も継続的にサポートしてくれる体制が整っているかを確認することが、長期的な成功の鍵となります。

FAQサイト導入前に知っておきたい注意点

FAQサイトは多くのメリットをもたらしますが、導入を成功させるためには事前に把握しておくべき注意点も存在します。
計画段階でこれらの点を考慮に入れておかないと、想定以上のリソースが必要になったり、運用が形骸化してしまったりする可能性があります。

ここでは、FAQサイトの導入プロジェクトを円滑に進めるために、特に重要となる2つの注意点を解説します。

FAQデータの準備と構築には相応の時間が必要になる

FAQサイトを立ち上げるには、掲載するQ&Aコンテンツを準備する必要があります。
各部署に散在している情報やマニュアルを収集し、住民に分かりやすい表現に書き換え、体系的に整理する作業には、相応の時間と労力がかかります。

特に初回のコンテンツ作成は、プロジェクトの成否を分ける重要な工程であるため、専任の担当者を置くなど、十分な人的リソースと作業期間を確保しておく必要があります。

公開後も情報の鮮度を保つための更新作業が不可欠

FAQサイトは、公開後の継続的なメンテナンスが不可欠です。
法律や条例の改正、行政サービスの変更、新しい制度の開始などがあった場合、関連するFAQを速やかに更新しなければなりません。
古い情報が掲載されたままだと、住民の誤解を招き、かえって問い合わせを増やしてしまう原因となります。

各部署に更新担当者を決めるなど、情報の鮮度を保つための運用ルールをあらかじめ定めておくことが重要です。

自治体のFAQ作成に関するよくある質問

ここでは、自治体のFAQ作成に関して、担当者から寄せられることの多い質問とその回答をまとめました。

Q. FAQシステム導入の費用対効果はどのくらいですか?

削減できた問い合わせ件数と対応時間から人件費を算出し、faqシステムの導入・運用コストと比較して測定します。
例えば、月100件の電話対応(1件10分)が削減できれば、それだけで大きな人件費削減効果が見込めます。
他の自治体の導入事例を参考に、費用対効果のシミュレーションを行うと良いでしょう。

Q. 住民から「分かりにくい」と言われない回答文の書き方は?

結論を先に書き、専門用語を使わずに一文を短くまとめることが基本です。
「〜が可能です」ではなく「〜できます」のように、簡潔で断定的な表現を心がけましょう。
箇条書きや図表を用いて情報を整理し、視覚的に分かりやすく伝える工夫も有効です。

公開前に他の職員や住民に読んでもらい、フィードバックを得ることも推奨されます。

Q. どんな部署の問い合わせからFAQ化するのが効果的ですか?

住民からの問い合わせ件数が多く、質問内容が定型的である部署から着手するのが最も効果的です。
具体的には、戸籍住民課(転入・転出)、税務課(各種証明書)、子育て支援課(手当・保育園)、国民健康保険課(加入・脱退)などが挙げられます。
まずは現状の問い合わせ記録を分析し、優先順位を決定することが成功への近道です。

まとめ

自治体におけるFAQサイトの導入は、住民サービスの向上と職員の業務効率化を両立させるための有効な手段です。
成功の鍵は、現状の問い合わせ内容を正確に分析し、住民目線で分かりやすいコンテンツを作成すること、そして長期的な運用を見据えて自庁に合ったシステムを選定することにあります。
本記事で解説した導入手順や作成のコツを参考に、計画的にFAQサイトの構築を進めていくことが求められます。

編集部情報
新規事業企画室 マーケティングチーム

株式会社CBTソリューションズ

新規事業企画室 マーケティングチーム

新規事業企画室のマーケティングチームとして、AIや問い合わせ対応の改善、新規事業に関する最新情報を、実務目線でわかりやすくお届けしています。

株式会社CBTソリューションズとは

CBTソリューションズは、国内最大級の試験運営事業を展開する企業です。安定した基盤のもとで、AI・DX・教育領域をはじめとした新規事業にも取り組み、企業や受験者の体験価値向上につながるサービスを広げています。

おすすめの記事

人気の記事