自宅受験と会場受験はどっちがいい?違いから分かるメリット・デメリットを解説
近年、インターネットを介したオンライン試験が、急速な拡がりを見せています。
また、コロナ禍をきっかけに、自宅受験が注目され需要はますます増えています。
しかし、自宅受験と会場受験のメリットやデメリットまで説明できる人は少ないと思われます。
今回は、オンラインで行われる試験の、自宅受験と会場受験の環境の違いやメリット・デメリットを解説します。
オンライン試験とは
従来の試験は、PBT(Paper Based Testing)と表現され、問題用紙を見て解答用紙に答えを書き込む紙媒体の試験を指します。
対してオンライン試験とは、インターネットを介してオンライン上で試験を行う方法です。
オンライン試験には自宅型受験と会場型受験があり、今回主題になるのはオンライン試験の方になります。
オンライン試験の自宅型と会場型
まずは、自宅型と会場型の違いや特長を項目ごとに確認していきます。違いが分かりやすいように、項目ごとに比較しながら説明していきます。
受験場所
自宅型:便宜上「自宅型」と呼んでいますが、基本的には会社や喫茶店などインターネット環境があれば場所は問わない形式です。
ただし、自宅型の中にも監視員の下で行う試験があるので、あらかじめ確認が必要です。
会場型:従来の試験はほとんどこの形式で行われてきました。指定された試験会場に出向き、指定された席で受験するスタイルです。
オンライン試験の場合は、民間のパソコン教室やテストセンターと呼ばれる場所が会場になり、試験監視員の下で受験します。
監視員が監視する形式は、現場で監視する試験とWebカメラを使って監視する形式があります。
使用端末
自宅型:自分のパソコンを使って受験します。パソコン以外でも、スマートフォンやタブレットで受験可能な試験もあり、あらかじめ確認が必要です。
音声や動画を伴う試験では、多くの通信量が必要になるため、使用する端末やインターネット環境にも、「推奨機器」「推奨環境」といった名目で注意勧告されている場合があります。
会場型:会場には一人ひとりにパソコンが割り当てられるため、自分で端末を用意する必要はありません。
主催者側が用意する端末、インターネット環境で全員が同じ条件で試験を行います。
自分でパソコンを持っている必要がないので、誰でも受験が可能です。
試験のタイミング
自宅型:監視員が付く試験であれば時間が指定されていますが、監視員が付かない試験なら始めるタイミングは自由です。
24時間好きなタイミングで始められます。
会場型:従来の試験と同じように、開始時間は指定があります。会場には他の受験者もいるので、同じ会場内全員が同じタイミングで開始します。
オンライン試験で使用する会場は小規模の場所もあり、同じ会場での受験者数が2~3人といったケースもありますが、人数にと開始時間は関係ありません。
試験の日程
自宅型:特に日程の指定されてない場合が多く、試験申し込み後に主催者が送付してくる問題を「~日までに提出」や「問題受領後~日以内に提出」といった形式で、提出期限が設定されます。
なかには、日付だけでなく提出期限日の時間まで設定されている場合もあるので、注意が必要です。
会場型:同じ試験の日程が複数設定されていることがあり、その場合は自分で日付を選択できます。
ただし、オンライン試験の会場は小規模なものもあり、従来の試験では馴染みのない人数制限があります。
会場も複数用意されているので、空いていることが多いとはいえ、利便性の高い会場は人気があることも考えられます。
「試験の申し込み期限に間に合えばいい」といった概念は捨てて、早めの申し込みを心がけるようにしましょう。
受験できる試験の種類・傾向
同じ試験で自宅型か会場型を選択することはありません。受験場所を自宅か会場かの選択制にすると、試験の公平性が保たれないためです。
また、監視体制も大きく影響します。不正行為への対策も、会場であれば監視員がその場にいて従来の試験と同じ不正対策ができますが、自宅型は本人のモラルに委ねる部分が多くなります。
Webカメラを通して、AIを活用した監視体制もありますが、あくまでもカメラに映った簡易に限定されるので、監視は甘くなってしまいます。
このような理由が、自宅型・会場型で採用される試験の傾向に表れています。
自宅型試験の傾向
監視が甘くなると、試験結果に対する公平性や権威性を保つのが難しくなります。
その結果、合否判定や資格認定を伴わない試験が多く採用される傾向にあります。
試験の種類としては、学生を対象とした入試前の模擬試験や、社会人であれば性格テストや適性検査に用いられることが多いようです。
代表的なオンラインシステムに、受験者の利便性に特化した「IBT(Internet Based Testing)」があります。
会場型試験の傾向
一方会場型は、試験の実施方法が紙からオンラインに変わった以外は、従来と変わらない監視体制のため、国家試験や大学入試でも採用されています。
問題の配布も開始直前に各自のパソコンにダウンロードする場合が多く、セキュリティ面でも高い信頼を置かれています。
代表的なオンラインシステムに、「CBT(Computer Based Testing)」があります。
自宅型・会場型のメリット・デメリット
どちらが優れているかではなく、それぞれの特性を活かした試験に採用されていることが分かります。
次に、それぞれの特性を理解したうえで、メリット・デメリットの解説に移ります。
自宅型のメリット・デメリット
自宅型のメリットは、何と言っても利便性の高さでしょう。
会場に出向く時間も必要無く、慣れた環境で受験できるのは大きなメリットです。
進学塾が自社開催で「IBT(自宅型システム)」を採用して、塾生に模擬試験を推奨するのもうなずける話しです。
一方デメリットも大きなものがあります。
模試の本来の意義は本番に向けての経験を積むことですが、自宅では入試会場独特の緊張感や雰囲気はありません。
自宅型と併用して会場型を利用するのもいいでしょう。
会場型のメリット・デメリット
会場型試験で主流となっているシステム「CBT(会場型システム)」は、試験会場となるテストセンターが全国に配置されている、「分散型」で普及しています。
一つひとつの会場規模は、決しておおきくないものの、試験日程を増やして随時開催になっている試験も多くあります。
これによって、試験日の選択・試験会場の選択ができるようになり、受験生にとっての利便性が飛躍的に向上しました。
会場での監視付きといった不正対策もあり、現在のオンライン試験の主流となっています。
デメリットは、会場に出向き限りどのような不測の事態に見舞われるか、予想ができない点にあります。
しかし、災害による中止・延期といった緊急対応は強く、受験者自身での試験キャンセルや振替受験が可能な点は、従来の会場型試験との違いです。
今後の受験スタイルの流れ
この記事で紹介した「IBT(自宅型システム)」と「CBT(会場型システム)」が現在の主流ですが、自宅受験の利便性に重点を置いたうえで、試験の厳格性を保ったシステム「OLTC」のニーズが高まっています。
国家試験や資格試験のようなオープンにされた試験ではなく、社内資格や社内昇進試験といった特定団体が使うクローズドな試験からのニーズです。
しかし、特定のシステムや専門の監視員を使い実際の試験環境を作っていますが、監視範囲がWebカメラに映る範囲に限定されています。
もっと高度なWeb上の監視システムが開発されるまでは、現在の流れが主流になるでしょう。