CBT

食品表示検定試験

一般社団法人食品表示検定協会 様
「食品表示検定試験」

「食品表示検定試験」

一般社団法人食品表示検定協会
事務局長
古野典子氏

消費者は日々健全な食生活を送るため、購入する食品を正しく理解し、選択することが大切です。「産地」「原材料」「添加物」「栄養成分」などを記載した食品表示は、その食品の情報を伝えるものとして、大変重要な役割を果たしています。
また食品を提供する事業者は、常に安全・安心な食品を提供することが求められており、食品に適切な表示をすることだけでなく、消費者に対して表示内容の説明ができる知識が必要です。
消費者、食品生産者、製造者、及び小売業者の方など、食品に関わるすべての皆様に、頻繁に改正が行われている食品表示関連法案に関する学習の機会として「食品表示検定」を活用していただけます。
当検定の受験を推奨する企業や団体も増え、食品表示診断士の資格を採用の応募条件の一つとする企業もあり、品質管理のための有用な資格として位置づけられています。
また食品業界を目指す学生の方には就職活動役立つ資格として認知いただいています。

食品表示の正しい知識の普及のために。受験者視点に立ったシステムで利便性の向上を実現。

コロナウイルスにより創設以来初の中止を決断。確実な開催と受験者の利便性向上のため初級・中級をCBT方式へ移行。

CBTS:貴協会および検定の創設意図についてお聞かせください。

古野氏:

食品表示検定協会は、食品表示に関わる人材の教育、食品表示の向上に関する情報収集・分析など、将来の消費者となる学生たちへの学習機会の提供を行うために、2009年3月に設立されました。
設立当時は食品偽装問題が相次ぎ、広く報道されたことで食品表示への意識が高まっていたものの、複数の法令が関わっているなど食品表示に関する法整備が進んでおらず、学習ツールも多くはありませんでした。
そこで消費者・食品事業者双方が正しい知識を得て生活・業務に役立てていただけるよう、学習のためのテキストを作成し、また自身の知識の確認や客観的な力量評価のツールとして本検定を立ち上げました。2013年に食品表示法が公布されたことも追い風となり、2023年2月時点で累計17万人を超える方々に受験いただき、8万人以上の合格者の方が「食品表示診断士」として活躍されています。受験者へのアンケートによると受験の目的は、初級では食品表示を見て理解できる、中級では表示を正しく作成・チェックができ、業者や顧客へ説明できるよう力量アップを図るためという方が多く見受けられます。食品製造業や食品小売業等の企業の社員教育や人事評価にも活用されているようで、食品表示の知識が業務上必要であるとの認知がされていることを実感しています。

CBTS:CBT方式への移行を検討されたきっかけはどのようなものでしょうか。

古野氏:

きっかけは2020年に発生した新型コロナウイルスの感染拡大です。当検定は毎年6月と11月にPBT(紙試験)を実施していましたが、感染拡大初期にあたる2020年度6月試験は創設以来初の中止を余儀なくされました。中止にあたっては、申込受付まで終えていたことや、人事評価や食品業界に就職を希望されている方々の人生に影響を与えてしまう可能性も考えられ、極めて苦渋の決断でした。
11月試験は感染対策を講じてPBTで実施したものの、先行きが見えない状況だったため他の試験方法を検討する必要がありました。検討にあたり、受験者からコロナウイルス流行以前より、試験日数を増やしてほしいといったご意見をいただいていたことや、自然災害等の影響で会場によっては予定通り試験実施ができない事態を過去に経験していたことも鑑みて、安定的かつ継続的に受験機会を提供できる試験方法はCBT方式であるとし、ここが転換期だと初級と中級の移行に踏み切りました。

充実の会場数は大前提。申込方法の明瞭さと団体申込が決め手に

CBTS:CBTの委託先として当社をお選びいただいた理由についてお聞かせください。

古野氏:

受験者の利便性向上と団体管理機能の2軸を重視して委託先を選定しました。受験者の利便性向上の面では、CBTS社は各都道府県すべてに会場を設置し340以上と会場数が多いので利便性向上が期待できることはもちろんですが、特に受験者の申込フローの分かりやすさが優れていました。選定過程でCBTS社にて実施している他主催者のCBT試験の申込から受験までを実際に体験しましたが、申込フロー及びUIが受験者視点に立って設計されていると感じました。
団体管理については、当検定は食品業界従事者の団体受験が受験者の半数を占めているため、団体受験は切っても切れない関係にあります。したがって受験者だけでなく団体責任者にとっても操作性の良いシステムである必要がありました。CBTS社では団体申込や管理機能の運用実績が数多くあり、提案初期より具体的な運用方法を示していただけたことも安心感に繋がり、委託を決定しました。

CBTに抵抗感のある団体責任者のフォローが課題

CBTS:CBTへの移行にあたり、苦労されたことなどございましたか。

古野氏:

前項でお伝えしている通り、団体受験が受験者の半数を占めているので、団体受験の仕組みの検討および団体責任者への周知・サポートが最大の課題でした。CBT方式への移行で申込方法および受験方法も変わり、抵抗感を持たれる団体責任者に対してどのようにケアするべきか苦心しました。

具体的に、従来、PBTの場合は団体責任者が受験者全員の受験申込・入金、合否結果の通知・配布までを一括で行っていましたが、CBT方式への移行により、団体責任者の役割が大きく変わりました。CBTにおける団体申込フローは図の通りですが、まず一括で当協会へ受験料を入金いただき、入金確認後に団体用管理画面に人数分のバウチャー(受験チケット)を発行、受験者はそのバウチャーを用いて”自身”で受験申込手続きを行う必要があります。
この変更に伴い、新たに団体責任者にはバウチャーを受験者へ配布し、受験者が申込しているかどうか、バウチャーの利用状況を管理画面にて確認する必要が生じることとなりました。
一方でCBTへの移行によって団体責任者は受験者の個人情報の管理や協会から届く受験票、合否結果を受験者に配布する対応が不要になりました。ただし、受験者にとっては自身の都合の良い日時・会場で受験できるメリットこそあるものの、試験形態や申込フローが変更となることへの抵抗も予想されました。
また、PBTでは、大口団体向けには「派遣開催」という団体が自社で設けた会場での受験も実施していました。こちらは受験者の受験状況をすぐに把握できるメリットがありましたが、当日の試験運営を団体責任者に担っていただいていましたので、団体側のご負担もありました。
そこで過去に団体申込実績のある各団体責任者に向けてメールを送り、希望者にはzoomを用いた説明会を行うなど、地道に周知活動を行いました。併せてCBTS社作成のマニュアルも適宜参照いただくなど出来得る限り最善を尽くすよう努めました。

CBTS:CBT方式へ移行されて、どのような所感をお持ちでしょうか。

古野氏:

当初協会内部ではパソコンで受験する試験スタイルへの変化により、受験者の中には年2回1日限定で実施していたPBTのような“試験の重み”が無くなり、不信感や不安感を抱く方もいるのでは、受験者数も減少してしまうのでは、という意見もありました。しかしCBTへ移行した2022年度試験は例年と同等の受験者の方々に受験いただくことができ、我々が抱いていた不安は払拭されました。また業務の面では、CBT方式に伴う新たな準備が発生したものの、協会独自の会場手配や試験資材準備、受験票の発送などのアナログな作業は削減されました。

CBTS:受験者の方からの反響などはございましたか。

古野氏:

以前は単一日時開催の一斉試験を主要都市に限定して開催していましたが、CBTへの移行にあたり約3週間の試験期間を設けることとしました。受験日の3日前まで日時と会場を変更できるようになったことで受験機会が増え、自身の予定やシフト勤務に合わせて調整しやすいとご好評いただいております。
また先日開催した2023年6月試験では大雨の影響により一部受験者において試験会場へ行くことが難しいため、別日への受験の振替が発生しましたが、CBTS社では振替のフローが確立されているためスムーズに対応いただけて助かったというお声もあり、目的としていた利便性の向上を果たすことができました。

食品表示検定の認知向上に向け、時代に合った試験運営の在り方を模索していきたい

CBTS:CBTを検討されている主催者の皆さんへメッセージを頂戴できますか。

古野氏:

CBTへの移行にあたってはいくつか課題がありましたが、何より受験者の皆さんに受け入れていただけるかが不安でした。しかしいざ実施をしてみれば以前と同程度の方々に受験いただき、高評価の声も多数耳にしております。当検定は受験者の皆さんの人生に関わる試験でもあり、今後安定して検定試験を提供していくためにもこのタイミングでCBTに移行したことは間違いではなかったと確信しています。

CBTS:最後に、今後の展望をお聞かせください。

古野氏:

当検定は現在初級・中級をCBTへ移行しましたが、上級については今年度よりCBTS社の申込システムを利用して、受験申込とお支払いを行っていただく方式を導入しました。上級の受験資格には中級合格者であることが必須となるため、初級・中級・上級と一貫性をもった同じシステムを提供でき、受験者のさらなる利便性の向上につながると期待しています。上級の試験形態は出題形式の都合上、引き続きPBTにて実施いたしますが、デジタル社会を鑑み、今後も適切な試験運営を模索し続けていく所存です。受験にかかるハードルが下がることで、より多くの方に受験いただき、食品表示の正しい知識が普及していくよう努めて参ります。

CBTS:ありがとうございました。


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