CBT

金融業務能力検定・サステナビリティ検定

一般社団法人 金融財政事情研究会 様
「金融業務能力検定・サステナビリティ検定」

「金融業務能力検定・サステナビリティ検定」

一般社団法人 金融財政事情研究会
理事長
加藤 一浩氏

金融業務能力検定は、1975(昭和50)年に始まり(当初は「銀行実務検定」として開始)、現在は34種目にまで拡大しています。この間の金融機関の業容拡大に懸命に対応してきた結果です。
金融機関において、さまざまな業務を取り扱うことが必要とされる時代が到来し、金融機関の行職員に求められる役割・知識も多様化かつ複雑化しています。「金融業務能力検定」は、このような金融機関の実情を踏まえ、若手行職員から中堅行職員・役席者に必要とされる基本的な業務知識や実務への対応力を検証する検定試験として、金融界で長年ご活用いただいております。

熱心なサポートで団体対応など柔軟にシステム構築しCBT化へ。信頼関係を基盤にさらなる受験者・顧客の満足度向上を目指して。

金融業界の変遷と共に歩み、人材育成を支えてきた。

CBTS:貴会の成り立ちおよび取組みについてお聞かせください。

加藤理事長:

当会は金融財政政策および金融機関経営に関する情報の収集・発信、調査研究と経済金融知識の普及・啓蒙を目的として1950年(昭和25年)6月、大蔵省所管の社団法人として創立されました。2011年4月、一般社団法人に移行し、「金融ナレッジ・ソリューション・ファーム」としての機能を発揮すべく、事業を展開しております。

CBTS:検定試験を立ち上げられた経緯について教えてください。

加藤理事

当会の検定試験は、金融知識の普及および能力のかん養に向けた取組みの一環として、1975年に当時の金融機関の固有業務に特化した「銀行実務検定」の創設によりスタートしました。現在では複数種の検定試験を実施していますが、その中でも「金融業務能力検定(以下、「業務検定」)」を開始した1990年は、バブル経済期の只中にありました。金融機関職員数は過去最高を記録し、各金融機関が自ら主導して教育・研修を行っていた時代です。当時、当会も金融機関等の教育ニーズに応えるため通信教育事業に注力していましたが、より的確・適正に学習成果を測る手段が必要と考え、種目を拡充して「業務検定」として実施するようになりました。
近年では、金融機関や企業側が自ら教育・研修を行うよりも、個人が、金融機関や企業が推奨する資格を主体的に学習し取得する結果重視の傾向にあります。さらに金融機関において業務内容の多様化が進み、行職員に求められる知識も多様化・複雑化しています。こうした環境変化を踏まえ、当会は、金融の基本業務に加えコンプライアンスやサステナビリティなどの種目を取り入れ、幅広い業種の方に活用いただけるよう検定試験の充実を図っているところです。


※2024年度版

CBTS:時代の潮流に乗ってサービス展開されているのが印象的です。

加藤理事

当会には検定試験の制作・運営を行う部門と、それを紹介・販売する部門があり、後者の営業担当者が聞いたお客様の声を制作に反映しています。営業といっても、当会の総合窓口のような立ち位置で、お客様から様々なご意見や情報をお寄せいただくとともに、当会からもお客様へ情報をご提供しています。営業担当者を窓口とした双方向での情報交換、これが当会の強みかもしれませんね。

スタッフの熱意と柔軟な対応で築き上げた信頼関係

CBTS:CBT試験が広く知られる前からCBTを導入されていたのですね。

加藤理事

はい。2016年よりCBTS社に業務検定の運営を委託する前にも、2014年から外資系の運営会社を通じいくつかの種目のCBT試験を実施していました。当時はCBT試験といえば外資系の運営会社が主流でしたので委託をしていましたが、硬直的な運営も見られ、なかなか当会の望むような運営を実施できていませんでした。そこで、委託先の変更も含めた改善への検討を始め、いくつかのCBT運営会社にアプローチし、その結果、CBTS社を選定しました。

CBTS:当社をお選びいただいた理由はどのようなものだったのでしょうか。

加藤理事

CBTS社の営業の方々をはじめスタッフの皆さんには熱心にサポートをしていただきました。我々からの要望に対しても、100%とはいかずとも、柔軟に相談に乗っていただいたと思っています。そこが大きなポイントでしょうか。試験の受付のシステムについても、団体対応や当会の基幹システムとの連携など当会の要望に沿ってカスタマイズを2年がかりで行いました。このカスタマイズの過程で、毎週顔を合わせながら進めたことが、現在の信頼関係の基盤になっていると思います。

試験運営の未来を見据え、乗り越えた反発の声

CBTS:CBT試験を導入するにあたって課題はありましたか。

加藤理事

年3回実施していた紙による試験をCBT試験に変更することについては、当時金融機関の窓口となっていた営業担当から猛反発されました。CBT試験は、試験会場が僅少であること、その調整をしなければいけないこと等、金融機関のとりまとめ担当者にとって負担が大きいという先入観があったためです。また、同一日時に同一問題を受けるのが試験であり、それにより優劣比較ができるので、公平であるとの考えがあります。試験日に向かって研修等を体系的に行え、試験によって同一時期にその研修効果の検証ができることも、当時は重視されていました。

CBTS:どのように反発の声を乗り越えたのでしょうか。

加藤理事

負のイメージを払拭すべく、システム開発においては、当会のそれまでのインターネット申込みと受付の基本的な仕組みを同じようにすることで、とりまとめ担当者の負担を軽減しつつ、利便性の向上を図りました。また、受験の予約が取りづらい、近隣に受験会場がないといった声に対しては、CBTS社に会場調整の努力をしていただきました。
反発や不安の声はゼロにはできませんが、受験者の利便性や世の中のペーパーレス、 デジタル化の潮流を考慮し、CBT化を推し進める必要があると判断し、踏み切った次第です。

受験者の利便性と運営効率の向上を両立したCBT試験

CBTS:当社でCBT試験を実施されての所感をお聞かせください。

加藤理事

具体的に、お客様にとって2点、当会として2点のメリットがありました。

お客様のメリットとしては、まず、受験機会が拡大することがあげられます。当会の検定試験は年3回、全国規模で実施していましたが、種目によっては年1回の実施にとどまっていました。そこで、CBT試験を導入するにあたり、試験期間を定めず年中受験ができる随時試験へ移行しました。その結果、受験者の都合の良い日程で受験することができ、受験機会は格段に増えたと言えるでしょう。欠席割合についても、紙試験で実施していた際は平均10%程度あったものが、試験日3日前まで日程変更可能となったことで、その割合は減少しています。
もう1つのメリットとしては、試験終了時に配布されるスコアレポートで試験結果が即時に把握できることがあげられます。紙試験では結果発表まで1か月半程度要していましたが、CBTではタイムリーに結果を確認することができます。仮に不合格となってしまった場合でも、再受験規定(リテイクポリシー)の5日を経過すればすぐに再受験できるのも利点です。

当会のメリットの1つ目は、運営負担の軽減です。前述の通り、当会は時代の要請に合わせて検定試験の種目数を増やしてきました。種目数を増やしていくことは試験制作面において負担が増しますが、紙試験で実施する場合は、試験運営においても、その準備や当日の現場にも多大な負担を強いることになります。さらに受験者からの問い合わせに備え受電応対の人員を手配する必要がありました。CBT試験を導入することにより、資材や会場の手配が不要となり、個人受験者のコールサポートも委託できたことで、総合的な運営負担の軽減を実現できました。それにより、新たなニーズに対応した検定試験の創設・実施に向け、柔軟に対応することができるようになりました。
2つ目は、不慮の自然災害に対して機動的な対応ができることです。従来の全国一斉同日実施の試験では、一部の地域で生じた不慮の自然災害に対して、状況に応じた対応が迅速に図れないこともあります。またコロナ禍においても、実施判断が非常に難しい状況で、実施をしても中止をしてもどちらの場合も批判がありました。一方で、CBT試験は、受験をするかどうかの判断を受験者や団体とりまとめ担当者に委ねることができます。このように、被災地域の実情に則した対応をする、受験者や団体とりまとめ担当者に受験判断を委ねることができる等、弾力的な対応が可能になりました。コロナ禍に関しては幸いなことにCBT試験を実施してから2年が経過していましたので、受験者数は2020年こそ減少したものの、その後は順調に推移しています。

金融知識の普及に向け、歩みを止めない

CBTS:CBTを検討されている試験主催者様へメッセージをいただけますか。

加藤理事

CBT試験の導入により、受験者にとって受験機会が拡大し、試験を身近なものに感じていただけると思いますし、運営側にとっても、台風や雪、大雨、地震といった自然災害や、交通機関障害時への対応を機動的に行うことができ、双方にとってメリットがあります。さらに、資格取得のみならず教育ツールとしての利用も増えていくことでしょう。紙試験からCBT試験への移行にあたっては課題も多くありましたが、この判断は間違いではなかったと確信しています。

CBTS:今後の展望をお聞かせください。

加藤理事

当会では2023年11月より、国家検定である「ファイナンシャル・プランニング技能検定」「金融窓ロサービス技能検定」 の両試験の3級について、CBT試験を紙試験と並行実施しており、2024年度からはCBT試験へ完全移行を行います。さらに、2級試験についても(金融窓ロサービス技能検定については1級も) 2025年度よりCBT化を実施する予定です。これにより両試験の受験者様にとっても利便性が向上することが期待されます。
今後も、お客様や受験者の声に寄り添い、より一層サービスの充実および改善に励んでまいります。

CBTS:ありがとうございました。


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