CBT

家電製品アドバイザーなど

一般財団法人 家電製品協会 様
「家電製品アドバイザー・家電製品エンジニア・スマートマスター」

「家電製品アドバイザー・家電製品エンジニア・スマートマスター」

一般財団法人 家電製品協会 認定センター
センター長 西崎義信氏

家電製品は、今や私たちの生活にとって “なくてはならないもの” となり、かつて “三種の神器” と呼ばれたテレビ、冷蔵庫、洗濯機などはほぼ全世帯にいきわたっています。大量生産・大量消費の時代が終焉し、人びとの価値観やライフスタイルが多様化するなかで、家電製品に先端技術が組み込まれ、これまでプロが扱うものとされてきた調理機器から理美容機器に至るまでが家電化し、身近なものとなりました。また、この魅力的な国内家電市場に国内外のプレーヤーが新規参入したことで目新しいブランドが増え、さらにインターネット販売の登場により販売チャネルまでもが多様化しています。このように、消費者にとって選択肢が広がり利便性が高まる一方、「各人のライフスタイルへの適合性(商品選択)」、「高度機能の使いこなし」、さらには 「品質・安全性の確保や事業者の信頼性の確認」 など、一般消費者が個人で対応するには困難な状況が進行しています。
加えて、家電製品単体での価値ばかりでなく、インターネットにつながることで(IoT)、クラウドからの情報を得て運転を制御するエアコンや冷蔵庫にある食材を使った料理のレシピをダウンロードできる電子レンジのように、複合化された新しい価値(サービス)を提供してくれる時代になっています。
このような家電を取り巻く環境変化と消費者との間に立ち、安全・快適・経済的な家電ライフを支援してくれる人材、それが家電製品協会の認定する 「家電製品アドバイザー(家電販売のプロ)」、「家電製品エンジニア(家電サービスのプロ)」、そして 「スマートマスター(スマート化する住まいと暮らしのスペシャリスト)」 という3つの資格です。

コロナ禍を受け、1万人以上規模の試験を短期間でCBT化。試験運営のDXはシー・ビー・ティ・ソリューションズ社と。

紙試験の運営をITで効率化。8年間のタッグで受験者も信頼も増しました。

シー・ビー・ティ・ソリューションズ社(以下、CBTS)とのお取引は、2012年3月から始まりました。私共の資格試験は、これまで毎年3月と9月に各2日間(日曜・水曜)、全国主要都市20数会場で実施しており、ここ3年間の平均では1回あたり約1万3000名が受験しています。2012年当時は試験の当日運営のみをCBTSにお任せしていましたが、次第に基幹システムとしてのASP管理システム導入、申込システムの導入、さらには試験会場の手配、合格認定証の発送など一連の試験運営業務を委託するに至っています。

これにより効率的かつ精緻な試験運営が可能となり、受験者の負担減はもちろん、企業の人事制度としてこの試験が導入される事例が増加し、結果として受験者増にもつながりました。

新型コロナウイルスによる自粛要請で2020年3月の家電製品資格試験が中止。2020年9月試験の実施も危ぶまれる中、CBT方式試験が照らし出した困難打破の道。

そういった中で試験業界に訪れた危機が新型コロナウイルスの感染拡大です。2020年2月下旬に政府から発表された大型イベントの自粛要請を受けて、家電製品協会でも2020年3月上旬に予定していた紙での一斉試験を急遽中止に。他の多くの資格試験も中止・延期となりましたが、その後も感染拡大の影響から試験会場の確保が難航し、2020年9月試験の中止も覚悟せざるを得ない状況でした。

しかし、私共の主催する資格試験は主要な家電関係法人において人事評価制度として活用されており、1年間も試験を中止すれば昇進・昇格の機会を逸する受験者が少なくないことは明らかです。加えて、コロナ禍における「内食」「おうち時間」の増加は家電の担う役割をこれまで以上に重要なものにしています。そのような状況の中でこれ以上の試験中止は何としても避けたい。その解決策こそが紙試験からCBT方式試験への移行でした。 

ニューノーマル時代の到来で変わる “常識”。コロナデバイド※に勝ち残るための重要な選択のとき。

※コロナ禍によって引き起こされる社会の変化(主に急速なデジタル化)に追随できるかどうかで優劣が明確に分かれる現象

実は、この数年間、CBT方式試験への移行が全く念頭になかったわけではありません。近年は災害が増加し、特に例年9月試験は台風シーズン真っ只中。会場によっては試験を中止する場合もたびたびありました。

「試験主催者として、受験を望む人の機会を損なうことほど無責任なことはない」私を含む協会内部および、試験の第三者委員会でもその思いは共通の使命感としてありましたが、試験規模の大きさやパソコンの操作に不慣れな受験者もいることなどを考えると、簡単にはCBT方式試験への一歩を踏み出せないというのが現実だったのです。

コロナ禍で動き出したCBT方式試験への移行。約4カ月の準備期間で何ができるのかを考えました。

誤解を恐れずに言うならば、これまで踏み切ることができずにいたCBT化を進めるのにコロナ禍は良いきっかけとなりました。ただ、2020年9月試験までの短期間でCBT化を実現できるのかという部分には大きな不安があったのです。

協会内での意見交換の結果、2020年4月下旬にCBT化についてCBTSとミーティングを行い、2020年5月の上旬にCBT方式試験への移行方針を機関決定した上で、2020年9月7日から20日の2週間、約280会場※の中から各受験者が希望する場所・期間内の日時で受験できるようにする、というロードマップを決めました。

※2020年9月当時

この時点で2020年9月試験までの残り期間は約4カ月。その間に
・CBTシステムの開発(カスタマイズ)
・これまでの申込システム(マイページ)への接続
・試験問題の仕様調整
・受験者への告知対応
・主要な法人顧客への事前説明
など、CBTS、私共ともにやるべきことは山積していました。 

CBTSと二人三脚の短期決戦。最後まで受験者に寄り添えたのは最高のパートナーがいたからです。

そのような中、CBTSはシステム関連以外の工程でも、受験者のユーザビリティを重視した試験運営を手厚くフォローしてくれました。

例えば、今回の移行では、紙面上での解答を前提とした問題をPCのディスプレイでも読みやすいものに編集する必要があったのですが、その際に問題文を簡潔にしたり、解答方法を変更したりといった調整にもCBTSの知見が活かされています。

さらに、ディスプレイを長時間見ることの身体的・精神的負担を考慮して問題数や試験時間の調整を検討した際にも、正答率のサンプリングや関数分析を用いた検証などにより、CBT方式の試験に適合した試験問題づくりを支援してもらいました。  

何より、2020年9月試験に向けて、まだ準備途中だった2020年6月中旬の段階でCBT化のニュースリリースを公表できたのはCBTSへの信頼があってこそといえるでしょう。また、CBT方式の試験に触れたことがない受験者のために協会HP内にCBTの体験コーナーを設けたことや、受験者が最も気にかけていた新型コロナウイルス感染症に対するさまざまな対策を全国280の会場で徹底していたことは、私共の受験者にとって大きな安心感につながりました。

▲家電製品資格試験シミュレーションの画面

いよいよCBT方式による初の試験、まさにその初日、未曽有の台風が九州地方を直撃するも、予約していた全員が無事に試験を受験できました。

そうして迎えた試験初日。ここで私共は早速CBT方式試験の実力の一端を見ることとなります。

2020年9月5日、突如として九州地方に未曾有の台風が接近しているとの報道が流れました。奇しくも九州上陸見込みは試験初日の2020年9月7日。従来のような紙での一斉試験であれば中止を余儀なくされるのは確実でした。

しかし、CBT方式の試験に移行していたことで、その日に予約していた受験者が日程を変更でき、後日、無事全員が受験できたのです。

また、2020年9月に行った試験の受験者を対象としたアンケート※では受験者の約93%が希望する日時もしくは希望する場所で受験できたと回答し、試験会場における感染症対策についても94%が満足したと回答する結果となりました。主要な法人顧客からも「安全を確保した上で、予定通り実施してくれてよかった」と好評の声をいただいています。

※有効回答数約1400件

試験業界にも迫るDX。受験者の努力を守る選択を、CBTSと共に。

CBT方式試験への移行を経験した私共が思うのは、受験者にとって公正・公平が求められる試験業界にこそ早急なデジタル化を進めるべきだということです。

新型コロナウイルスの影響はもちろん、自然災害など予測不能なリスクが想定されるなか、紙での一斉試験を続けることで、どれだけ多くの方々が受験機会を逃すことになるのかを考えると、DXへ追い風が吹く今こそCBT化を進める絶好の機会ではないでしょうか。

私共もCBT化をする以前はさまざまな不安を抱えていましたが、いざ実現してみると、それらのほぼすべては取り越し苦労だったと分かりました。そしてその実現を最大限に支えてくれたパートナーがCBTSだったのです。今後とも相互の連携を深め、CBT方式試験の質と効率のさらなる向上と周辺事業を含めたDX化の推進に努めたいと思っています。



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